2019年3月15日に、日本政府は仮想通貨交換業者に対する規制強化を盛り込んだ金融商品取引法と資金決済法の改正案を閣議決定しました。
この改正により、投資家や利用者保護の確保やルールの明確化が期待され、機関投資家や金融機関などが仮想通貨界に本格参入してくることを期待しています。
名称が「暗号資産」へ
今回の改正案により、仮想通貨の名称が「暗号資産」へと変更されます。
仮想通貨交換業者の名称も法律上、「暗号資産交換業者」になりますが、交換業者に対してこの名称を義務付ける強制力はありません。
暗号資産・・・
仮想通貨という呼び方に慣れてしまった僕としてはかなり違和感があり、慣れるまでに時間がかかりそうです(笑)
流出リスクへの対策
2018年の仮想通貨流出事件のような仮想通貨の流出リスクへの対応として、ホットウォレット(ネットにつながった状態のウォレット)で保管している仮想通貨に対して、「見合いの弁済原資(同種・同量の暗号資産)の保持」が義務付けられることになります。
つまり、ホットウォレットで保管している仮想通貨が流出した場合、その弁済原資を使って、交換業者が利用者に対して補償を行うことになります。
さらに、利用者から預かった仮想通貨をコールドウォレット(ネットから遮断されたウォレット)で保管することも法律で義務付けられます。
その一方で、利便性などの観点から、ある程度の量をホットウォレットで管理することも必要であるため、ホットウォレットで管理できる仮想通貨の上限も今後検討していくようです。
証拠金取引に対する規制
証拠金取引とは、為替でいうFXのようなもので、レバレッジをかけることで預けている証拠金以上の取引が可能となります。
この証拠金取引も今回の改正案により、金融商品取引法の規制対象となります。
※今回は、現物取引については規制の対象とならないようです。
将来的には、この現物取引についても規制の対象となることが期待されます。
ICOに対する規制
昨年詐欺まがいの事案が多く発生したICO。
ICOに対する規制も強化される見込みです。
ICOとは、イニシャル・コイン・オファーリングを意味し、株式でいうIPOのような資金調達手段のことを言います。
ICOでは、株式の代わりにトークンを発行することで資金を受け取ります。
ただし、ICOの時点ではそのトークンは上場しておらず無価値です。
将来上場し、値上がりすることを期待した投機になります。
健全なプロジェクトであれば、集めた資金を使ってプロジェクトを進行させていきます。
しかし中には、資金を集めるだけ集めて運営が姿をくらましたり、上場はしたもののほとんど活動していないプロジェクトもありました。
このような詐欺まがいのプロジェクトの横行を許さないために、ICOに対する規制が作られます。
ただし今回の規制では、トークン発行者からの収益分配が見込まれ、投資とみなせるICOについてのみ規制の対象とするようです。
マネーロンダリングへの対策
仮想通貨(暗号資産)の銘柄には、匿名性が高い通貨もあり、マネーロンダリングに利用されやすいことが懸念されています。
それに対抗して、「交換業者が取り扱う暗号資産の変更を事前届出とし、問題がないかチェックする仕組み」を整備するとしています。
すでに、コインチェックなど一部の交換業者では、匿名通貨の取り扱いを中止するなど、対策がとられ始めています。
さいごに
今回は僕自身の勉強もかねて、記事にしてみました。
これからさらに規制が強化され仮想通貨(暗号資産)市場が整備されてくると思います。
そうなれば、機関投資家や金融機関などが仮想通貨(暗号資産)を取り扱うようになり、巨額の資金が流入してくることが予想されます。
次なるビッグニュースに期待です。